2004年

ーーー5/4ーーー 展示会のご案内  

 この6月に東京で展示会を行なうことになりました。詳細は別ページにアップしてあるので、ご覧下さい。
今回は詩人の佐々木幹郎先生がプロデュースして下さるという、夢のような企画になりました。会場も先生のご紹介により、ギャラリー「オ・アザール」を使わせていただけることになりました。先生の各方面に渡る人脈のおかげで、宣伝の方も順調に進んでおり、大いに期待が持てる状況となりつつあります。

 今まで数回にわたり、個展やグループ展を行ないましたが、今回は格別に気持ちが充実しています。東京でできるということが、まず一番の魅力です。それに加えて、出品作品も満足のいくものが揃いました。そして何よりも、佐々木先生をはじめとして、多くの方々から御助力をいただいていることが、自信につながっていると思います。

 会期中は毎日私が会場に詰めておりますので、どうぞお運び下さる様お願い致します。




ーーー5/11ーーー 小室等さんのコンサート

 小室等さんのコンサートに行きました。フォーク・ソングの神様と言われている小室さんです。しかし正直なところ、私はこれまで集中的に小室さんの音楽を聞いたことはありませんでした。しばしばテレビなどで拝見することはあっても、その音楽については良く知らなかったのでした。

 個人の別荘で行なわれたコンサートだったので、会場となった部屋は床を埋め尽くすようにして満員でした。それがまた熱気となって、会場の雰囲気を盛り上げたのかも知れません。とても良い雰囲気のコンサートとなりました。

 軽妙なトークを交えた小室さんの歌と演奏は、素晴らしかった。聞きながらいろいろなことが頭をよぎるような気がしました。「音楽は何故にこのような感動を与えるのか」などという、唐突な思いが頭に浮かぶかと思えば、その直後に頭の中が空っぽになって、詩の言葉がすうっと入って来たり。ギターをつま弾く小室さんの指を見て綺麗だなと感じたり。目の前の出来事の圧倒的な支配力に、ただ身をゆだねるだけでしたが、このような複雑な心理状態を、ライブ感覚と言うのでしょうか。

 コンサートの後は、屋外でパーティーをしました。集まった人たちが、小室さんの前で、それぞれにギターを手に歌いました。皆で合唱もしました。小室さんは「まるで1960年代のフォーク集会のようで懐かしい」と言っておられました。



ーーー5/18ーーー 機械の故障

 工房の「角ノミ盤」が故障した。刃物を取り付けたヘッドを上下させるギャーの歯が欠損したのである。こんなことがあって良いのだろうかと疑いたくなるが、木工機械は意外に低グレードの仕様で作られているものらしい。このギャーも鍛造ではなく、鋳物から作られていた。

 馴染みの機械屋に電話をして、修理に来てもらった。こういうときの機械屋のアクションは早い。商売道具が壊れたら仕事にならないということを、彼等は良く理解している。

 翌日、交換部品が届いた。すぐに付け替えの作業に入ったが、細かいところで上手くいかない。機械屋は部品を工場へ持ち帰って手直しの加工をする。これが三度。意外なところに潜んでいた原因を取り除いて、角ノミ盤は甦った。私はほっと胸をなで下ろした。

 修理と言っても、この手の仕事は品物を元の状態に戻すことではない。機能は元どおりに直すが、品物は修理のたびに少しづつ変貌していく。それはまるで、人体の手術のようでもある。

 機械は生き物である。買って来たものをそのまま使うだけの一般消費者にはピンとこないだろうが、ちょっと専門的な機械というものは、人が良くケアをしなければ正常に動かない。

 私がエンジニアリング会社に勤めていた頃、建設工事現場で機械担当のベテラン技士から聞いたことがある。「機械というものは、工場で出荷前に作動試験を終えているものでも、現場に据え付ければすぐに動くというものではない。人が様子を見ながら手をかけて、少しづつ良い状態へ持っていって、はじめてまともに動き出すのだ」。そのときの話題の対象は、出力二万キロワットの蒸気タービンであった。

 また、こんなことを言う技術者もいた「機械っていうものは女と同じで、使ううちにこなれてくるんだよ」



ーーー5/25ーーー 展示会の準備

 先週の火、水の一泊二日で東京に行き、6月上旬に予定している展示会の、第一回目のセッティングを行なった。

 ギャラリー「オ・アザ−ル」は、この件で始めて訪問した冬の時期とは一変して、初夏のみずみずしい緑が窓の外に展開していた。ギャラリーの室内に作品を置くと、私の工房で見るよりはるかに美しく見えた。場の雰囲気が作品を引き立てるのである。変な言い方だが、自分の作品を改めて褒めてやりたい気分になった。

 ギャラリーのオーナーである御厨斗夜子さん、ご主人の貴さん、そして今回の展示会のプロデューサーである詩人の佐々木幹郎さんとお会いし、ディスプレイなどの詳細について打ち合わせをした。ちなみに御厨貴氏は、近代政治思想学の分野で、日本を代表する学者の一人である。

 打ち合わせの結果、いろいろな宿題を戴いた。オープンまでにそれらを解決しなければならない。これから作らなければならないもの、手直しをしなければならないものもある。

 軽トラックでの東京往復は、正直なところ疲れた。歳のせいか、日にちが経っても体調が戻らない。しかし、意欲は満々である。大学山岳部の一年生だったときの、夏山合宿に突入する直前の心境を思い出す。一抹の不安は有れども、新しい世界への好奇心に、心が浮き立つようである。




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